パワーリフティングの“強さ”とは何か?重量だけではない本質と上達の法則

パワーリフティングにおける“強さ”とは

— 重量だけでは語れない、本当の強さの定義 —

パワーリフティングにおいて「強さ」とは何か?
重量が挙がるかどうか——もちろんそれは強さのひとつです。
しかし競技者として成長していくほど、「重量=強さ」では説明できない要素が多くあることに気づきます。

この記事では、
競技者・コーチ・トレーナーとしての視点を踏まえ、
「パワーリフティングにおける強さ」を総合的に解説します。


① まず初めに:“強さ=挙上重量”ではない

確かに重量は指標として最も分かりやすいものです。
しかし、重量だけを追い求めると多くの選手がどこかで壁にぶつかります。

  • 体調が安定しない

  • フォームが崩れて怪我をする

  • メンタルが保てない

  • トレーニングが継続できない

  • 高重量でしか強さを感じられなくなる

重量は“結果”であって“原因”ではありません。
その結果を支えているものこそが「強さの本質」です。


② パワーリフティングの強さを構成する5つの要素

1. 技術(フォーム)

技術は強さの基盤です。
安定したフォーム=再現性の高い動作は、どんなコンディションでも重量を扱う力になります。

  • 無駄のない軌道

  • 関節への負担が少ないポジション

  • 呼吸・腹圧のコントロール

  • シューズやギアによる最適化

「強い人は、常に同じフォームで挙げられる」
これは揺るぎない事実です。


2. 最大筋力(筋量+神経系)

当然ながら、筋力は強さの大きな要素です。
特にパワーリフティングでは 筋量よりも“神経系の強さ” が重要になります。

  • 高重量に対する恐怖心に耐えられる

  • 筋肉を一気に動員できる

  • 動作の瞬間に力を集約できる

筋肉量が多いだけでは「強い動作」は作れません。


3. 再現性の高さ(コンディションの安定性)

強い選手は、「調子が悪い日でも最低限の記録が出る」選手です。

  • 睡眠

  • 体調管理

  • ストレスコントロール

  • ウォームアップの質

  • トレーニング計画の精度

これらを安定させて初めて、強さが持続します。
安定は強さそのものです。


4. 怪我をしない耐久性(レジリエンス)

怪我で離脱することは、強さの停滞を意味します。
逆に言えば、

怪我をしない=強さの再現性が高い=競技力が伸び続ける

という構造になります。

  • 身体のケア

  • 柔軟性・可動性

  • 技術の修正

  • 適切なギアの選択

  • 正しいボリューム管理

継続できる身体こそが本当の強さです。


5. メンタルの強さ

高重量は、身体だけでなく精神にもストレスを与えます。
特に試合では、

  • 緊張

  • プレッシャー

  • 不安

  • 他選手との比較

  • 成功・失敗の流れ

これらに負けない芯の強さが必要です。

強い選手は、「恐怖心と共存できる人」です。
もしくは恐怖を超越した存在。


③ なぜ“快適なフォーム”だけでは強くなれないのか?

初心者のうちは「快適で安全なフォーム」が理想です。
しかし、ある程度までいくと成長が止まります。

強くなるためには、
快適さ(コンフォートゾーン)から一歩出る必要がある
からです。

  • 重心をギリギリまで前に持っていく

  • 腹圧を限界まで高める

  • 神経系の限界に挑戦する

  • フォームを変えながら成長する

「上手さ」と「強さ」は別物。
その違いを理解すると強さの伸びが大きく変わります。

これがフィットネスのトレーニングと異なる点です。
ひょいひょい動かせる、強度なら動きがキレイなのは当たり前です。
我々はキレイに見せるためにトレーニングをしているのでしょうか?

競技参加して自分を高めていきたいのであればプラットホームで役に立たない技術体系に耳を傾ける必要はありません


④ では、最終的な“強さ”とは何なのか?

私が考える結論はこれです。


パワーリフティングにおける強さとは、

“高重量を安全に、再現性高く挙げ続ける能力”


重量だけでもない。
技術だけでもない。
身体能力だけでもない。

「継続」×「技術」×「身体」×「メンタル」
これらが揃った時、初めて“強い選手”になります。

これは初心者〜上級者まで共通です。


⑤ 最後に:あなたにとっての“強さの軸”を持とう

誰かと比較する必要はありません。
あなたの強さは、あなたの中にしかありません。

  • 今より怪我をしない

  • 今より重量を安定させる

  • 今より技術を磨く

  • 今よりコンディションを整える

  • 今より恐怖心と向き合う

それぞれの“強さ”を積み上げた結果が、
パワーリフティングという競技の魅力です。

最後までお読み頂きありがとうございました!


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